▼前提として
解像度
コンピュータがデータを保持する最小単位はビットbit、つまり0-1あるいはON-OFFを表現するだけの2階調。8ビットで1バイトByteを構成するから、1Byteは2の8乗通り256階調の表現が可能になる。
画像データ1画素(=ピクセル)は、モノクロの場合1ビット、グレースケールの場合1バイト(8ビット)、RGBカラーの場合3バイト(24ビット)で構成される。下の図は11階調グレースケール図、モニタの調整などに使われることがあるが、8ビットグレースケール図はこれが256階調(0~255)まで広がることになる。
ちなみに半角英数字と半角記号は1バイト、ひらがなは2バイト、漢字は4バイトで構成される。IPアドレスは、192.168.1.9や255.255.255.0となるが、ドットで区切った0~255までの数字が4つ並ぶのが特徴である(4バイト)。
RGBカラーは3バイトで構成され、0.0.0は黒、255.255.255は白、255.0.0は赤となる。ドットで区切られた数字は左から R、G、B を表し、それぞれ256階調(0~255)の組み合わせで色を構成している。
コンピュータは16進数をつかうことが多い。たとえば95は16進数では5Fとなる。0から9までの数字とAからFまでのアルファベットで15までの数を表し、255は16進数ではFFとなる。よってRGBカラーは、16進数では#000000は黒、#FFFFFFは白、#FF0000は赤となる。
R・G・Bのひとつひとつはグレースケールと同じ1バイトで、3つ重なって3バイトになる。するとRGBカラー1ピクセルは3バイト(24ビット)で構成され、256の3乗=1,677万色を表現することになる。といってもこれだけの色空間を表現できるソフトやデバイス(モニタなど)は存在しないから実際にはこれに近い色となる。
▼解像度と色深度
解像度はピクセルの数を表すもので、表し方に2通りある。300dpiは「密度」で表した表現、1500×800(120万画素)は総ピクセル数で表した表現で、どちらも解像度だが、300dpiだけでは総ピクセル数がわからず、総ピクセル数だけでは密度がわからない。どちらも縦横のサイズが必要となる。
これに対して色の階調(色深度)という場合は1ピクセルがもつ性質を表すもので、例をあげると(というか上で述べたことだが)下のようになる。
1bit: 2色(白か黒 2階調)
8bit: 256色(グレースケール)
16bit: 65,536色
24bit: 16,777,216色 (24 bit True Color)
32bit: 16,777,216色+256色アルファチャンネル (32 bit True Color)
1ピクセルの色深度は上のようなもので、300dpiはこのピクセルが1インチに300個ならんだ表現。
▼ピクセル(画素)とドット
ピクセルは画像を構成する一つの点だが、それ自体が色深度をもつことで、いろんなカラーを表現することができる。8bitカラーの場合、R・G・Bのそれぞれは8ビットで構成される(256階調)から、8bitカラーは24bitカラーともいわれるように3つの重なりであり、1ピクセルは256×256×256=1,677万色を表現することができる(上で述べたようにあくまで理論値)。1,677万色を表現できるのが8bit(24bit)カラーということになる。
これに対してドットとは(点を意味する)、モニタやスキャナに対して使う場合はピクセルと同義だが、プリンタの場合ちょっと意味が異なってくる。プリンタは色をつけるかつけないかだから、その意味ではドットは2階調を表す単位である(白黒2値)。しかし次のようなケースもあるだろう。
〈3色インク(CMY)+黒(K)の4色で構成されたインクジェットプリンタ〉
1ドットは2階調つまり色をつけるかつけないかだから、C、M、Y、青(CM)、赤(MY)、緑(YC)、黒(K)、そして白という、8色のうちのひとつということになる。
〈6色インク(CMY+中間色)+黒の7色で構成されたインクジェットプリンタ〉
中間色を入れることで1ドットは4階調を表現できるようになる(全色、中間色、全色+中間色、なし)。1ドット=4階調で1ピクセル=256階調を表現するには、1ピクセルを64ドットで構成すればよい(4×64=256)。64ドットは縦横それぞれ8ドットになるから、300dpiの画像を印刷するプリンタは2400dpi(8×300)の解像能力が必要ということになる。
最近のインクジェットプリンタは、インクの吐出量を制御することで1ドット=16階調を実現できるという。1ピクセル256階調を実現するには1ピクセルを16ドットで表現すればよいから、縦横はそれぞれ4ドットずつでよい。プリンタの解像能力は1200dpi でよいことになる。
結論: プリンタの解像度の表示をあてにしてはいけないということ。
▼なぜ300dpi必要かという話(プリントを前提とした話)
人間の目の解像度(識別能力)と関係するらしいのだが、A4サイズの用紙を最も視力の高い部分(視角45度)に全体を収めて鑑賞する距離は43cmだという。この距離で視力1の人間が識別できる間隔は0.12mmとなる。つまりピクセル間隔が0.12mm以下だとピクセルの境を識別できないということだから、ギザギザがないきれいな写真に見えるということ。
25.4mm(=1インチ)÷0.12=210(dpi)
つまり解像度が210dpi以上あればよいということ。しかしA4サイズより小さいものはどうなるか。もっと近づけてみるはずである。鑑賞する距離が近くなれば識別できる間隔も 0.12mm よりも小さくなる。たとえば0.08mmを識別できたとする。
25.4mm(=1インチ)÷0.08=310(dpi)
310dpi必要ということになる。プリントを目的とするなら、A4のデータをスキャンするときは210dpiぐらいでもよいが、写真サイズだと310dpi必要ということになり、平均的に 300dpi となる。
▼モニタの話
L版サイズの写真を解像度300dpi、「等倍」でスキャナで取り込んだときに、このファイルの総ピクセル数は次のようになる。
(L版=127mm×89mm、1 インチ=25.4mm とする)
127÷25.4×300=1500ピクセル (横サイズ)、89÷25.4×300=1051ピクセル(縦サイズ)
ということで、1500×1051ピクセルのファイルになる。モニタの解像度は一般に72dpi( Windowsの標準解像度は96dpi )であるから、1500÷72×25.4=529mm、1051÷72×25.4=370mm ということで、529mm×370mm の大きさでモニタに表示されると云うことになる(ピクセル等倍にした場合)。これはA3よりもはるかに大きいサイズである。印刷を目的としないでモニタ上で写すだけなら十分な解像度ということになるが、これで印刷すると、L版サイズがちょうどよいということになる。
▼総ピクセル数はどれくらいあればよいか
モニタで表示するだけなら、解像度を72dpiにして、最大サイズをモニタの解像度以下に設定しておけばよい。
印刷を目的とするときは、解像度を360dpiにして、印刷で得たいサイズになるよう設定すればよい。
モニタに表示したときの実際の大きさは、そのモニタの解像度によって決まる。それぞれのモニタは、グラフィックドライバの設定で上表のような解像度になっているので参照されたい。
解像度72dpiのデータがモニタに表示される大きさは、表の「72dpi」の項目を見ればわかる。その左側の用紙サイズで表示されるということである。印刷に必要な総ピクセル数を得たいときには、表の「360dpi」の項目を見ればよい。その左側の用紙サイズで印刷が可能ということである。
ちなみにモニタに表示させるのは「ピクセル等倍」がいちばんきれいである。それより大きければ縮小して表示されるが線がにじんだりする。「ピクセル等倍」(=100%)以上に拡大するとギザギザがめだつことになる。